「翡翠と桜の大喧嘩」
 
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「もう知らない! ユーノ君なんか大ッッ嫌いッッッ!!!」
「嫌いで結構!!」
「ふんだっ!!!!」
 扉が壊れるのではないかというほどの勢いで、なのははユーノの部屋から飛び出していった。
「何さ、ユーノ君のバカッ!!」
 キッカケは些細な事だった。休日を利用してユーノの部屋を掃除していたなのはが
 ユーノがせっかく手に入れた石をうっかり捨ててしまったのだ。
 日頃ならそんなことで怒るようなユーノでは無いのだが、この時ばかりは違った。
 怒りもあらわに怒鳴り散らしたのである。
 慌てて謝罪するなのはだったが聞き入れてもらえず、ついには大喧嘩になってしまったのだった。
「大体、大事な物だったんなら、その辺にポンと放っておく方が悪いじゃない!!」
 怒り収まらぬまま町中をぶつくさ文句を言いつつ歩くなのは。
 周りを歩く通行人達はただならぬオーラを放つなのはに何事かと身を引いている。
「大体………!」
「な、なのは、どうしたの………?」
「ふぇっ?」
 呼びかけられて振り向くと、なのはの纏うオーラに引きつり気味なフェイトがそこに立っていた。
「……なるほどね。確かに仕舞ってなかったユーノも悪いけど、やっぱりなのはも悪いよ?」
 立ち話も何だと近場のカフェに退避し、なのはの事情、というか愚痴を聞いたフェイト。
 珍しいことだ、と素直に思う。普段の二人なら喧嘩することなど滅多に無いのだから。
「それは分かってるけど………」
「ユーノにとって大切な石だったんなら、怒るのも仕方ないと思うな」
 なのはが捨ててしまった石。
 それ自体は一見目立たない鈍い色をした鉱石で小さな物だった。
「う………」
「謝りづらい?」
「それは分かってるよぅ………でも、あんなに怒らなくても………」
 非があるのは分かっているが、それだけユーノに文句を言われたことに腹が立っているのだろう。
 素直になれないなのはに一つ息を吐いてフェイトが口を開いた。
「じゃあ、なのはが大切にしてたものを間違ってユーノが捨てちゃったら?」
「……………」
「同じくらい怒らない?」
「……うぅ………」
 苦笑しながら告げるフェイトになのはは何も言い返せない。確かに自分でも同じことをユーノにされたら怒ってしまうだろうから。
「レイジングハートォ………」
『知りません』
「そんなぁ………」
 いたたまれなくなり、相棒に助けを求めたがサラッと流される。
『そもそも掃除に行かれる前に言いました。マスターユーノに確認を取ってからにして下さいと』
「………なのは」
 頭痛でもしてきたのか、フェイトがこめかみを押さえながら声を掛ける。
 さすがにフェイトもユーノに無断でそんなことをやったとは思いもしなかった。
「………だって、帰ってきたユーノ君を驚かせたかったんだもん……」
『……………』
「……………」
「二人して、沈黙で責めないでぇっ!?」
 少々呆れた目で見る一人と一機に、ついになのははテーブルに突っ伏す。
「あうぅぅぅ………。どう謝ろう………」
 そのまま頭を抱えて唸るなのはだった。

◆      ◇      ◆

 一方その頃、もう一人の当事者もまだまだご機嫌斜めの真っ最中にあった。
「……まったく、頼んでもないのに………!」
 自室にてブツブツ文句を言いながら、論文に手を付けるユーノ。
 さすがに大分、怒りは治まっていたが、その手自体は全然進んではいない。
 せっかく手に入れた物を捨てられてしまっては、さすがのユーノでも怒らないわけにはいかなかった。

 日頃のユーノなら、捨てられた物がそれ以外なら、怒ることもなかったろう。
 だが、その石は特別だったのだ。
「あれだって、なかなか見つからなくてやっと見つけたやつだったのに………ああ、もう!!」
 まとめきれず書きかけていた論文をクシャクシャと丸めて放り投げ立ち上がる。
 ドカドカとベッドまで歩くと乱暴に身を沈めた。
「……もう、知るもんか!」
 怒り治まらぬユーノだったが、ふとカレンダーに目が止まった。
「………知る……もんか」
 分かっていた。なのはが悪い訳じゃない。
 彼女は自分を喜ばせたくて、掃除してくれていただけにすぎない。

 石のことだってそうだ。自分が仕舞っておけば、問題のないことだった。
 なのに自分は怒鳴り散らすような真似をしてしまった。
「……だけど、あれは………」
 治まらない感情のまま、それだけを口にする。もう一度、カレンダーを目にする。

 カレンダーには○印が付いていた。

 しばらく沈黙した後、深い溜め息を吐く。そんなところへ通信を告げるコール音が響いた。
 ノロノロと通信に出てみれば、相手は見知った黒ずくめ。
『……その顔は何だ? フェレットもどき』
「どうでもいいだろ、用が無いなら切るよ? シスコン提督」
『まだ話してもいないだろうが』
「………何の用? 一応、この後は休暇なんだけどね」
 クロノに半目を向けながら、怠そうに聞くだけは聞く。
『実はな。数日の内に探査に行ってもらいたい場所があるんだ』
「何で僕が……?」
『お前が適任なんだ。探査対象はロストロギアで間違いないんだが、場所が魔力鉱石の鉱脈でな。反応がありすぎて的が絞れないんだ』
「………つまり探査機代わりに行ってこい、と?」
『有り体に言えばそうだな』
 クロノの言葉にゲンナリした顔を向けながら、ユーノは盛大に溜め息を吐く。何でせっかくの休暇にそんな目に遭わなければならないのか
「断る。僕じゃなくたって別に問題ないだろ」
『他の者にやらせて駄目だったから、こうしてるんだがな』
「……………はあ、分かったよ。で、行くメンバーは僕だけ?」
『本来ならシャマルあたりに付いてもらうんだが、生憎その数日は、はやて達と他の案件にあたっていてな。フェイトも同じだ』
「じゃあ、僕だけなんだね」
『いや、なのはに付いてもらおうかと思うんだが』
 その言葉に途端に顔を曇らせるユーノ。正直、今その名前だけは聞きたくなかった。
「……クロノ、僕一人で行くよ」
『お、おい、ユーノ……?』
「そんな場所に行くなら、なのはじゃ足手まといだよ。鉱脈なんかでバスターを撃たれちゃたまったもんじゃない。崩落で生き埋めだ」
『……まあ、確かに一理あるが。……お前、ひょっとして、なのはと何かあったのか?』
 カッとなるにはその一言で十分だった。
「何でもないよ! とにかく僕一人で行くから!! 後で詳細なデータを送って。以上!」
『おい、待て! ユーノ!!』
 ブツッという音と共に落ちる通信画面。
「……何でも無くないだろう。何をやってるんだか、あの二人は………」
 今のユーノの態度でおおよそ何があったかは見当が付く。
 理由は知らないが、なのはと喧嘩でもしたのだろう。
「まったく……喧嘩するなら周りへの被害を考えろ」
 日頃、二人が喧嘩らしい喧嘩などしているところを見たことのないクロノは、暗転した画面を見ながらため息を吐くのだった。

◆      ◇       ◆

「………で、何できみがここにいるわけ?」
 クロノにはそうは言ったものの、それでもなのはが呼ばれるであろう事は見当が付いていた。
 数日後、問題の鉱脈へ出向いたユーノは入口に立っていたなのはを見つけるなり、開口一番そう告げてしまった。

 違う、言いたいのはそんな事じゃない。そう思うのに、ユーノの口から出た言葉は思いとは反対の含みを持っていた。

「何でって……私はクロノ君に頼まれただけだよ!」
 クロノからこの話を聞いたとき、謝るチャンスだと思った。見つけたら笑顔で声を掛けよう。
 きちんと謝ろう。そう決めていたはずなのに。ユーノの不機嫌そうな一言にすぐさまカチンと来た。
 こうなってしまうともう止まらなかった。
「僕一人で十分だって言ったのに……」
「……私じゃ足手まといだって言うの!?」
「狭い場所でバスター撃たれちゃ、たまらないだけさ」
 いくら砲撃魔導師だからといって、撃つ場所は考えて撃つに決まっている。そんなこと分かり切っている癖にわざとらしく突っ掛かるユーノにまたカチンと来た。
「何でもかんでもバスター撃つみたいに言わないでよ!?」
「……違うの?」
「んぎぎぎ………!!」
『マ、マスター、ヘルプ、ヘルプ!? 折れる!! 折れますぅっ!?』
 思わず手に力がこもり、ミシミシと音を上げる身体にレイジングハートが悲鳴を上げる。
 そんな悲鳴に二人はやっと我に返った。
「………と、とにかく! 僕一人で十分だから、きみは帰りなよ!!」
「………冗談言わないでよ! それじゃ任務放棄じゃない!! 大体、他に盗掘者でもいたらどうするの!?」
「……………分かったよ、じゃあ、勝手にすればいい!!」
 そう言うとズカズカと入口の奥へと姿を消すユーノ。
「勝手にするよっ!!」
 そんな背中に怒鳴り、なのはもまた入口をくぐるのだった。

 ……………。

 誰もこの場に居ないことは幸いだったのか。
 もし、他の者がここに居たならば二人の態度に思い切り頭を抱えていたことだろう。
 日頃なら抜群なコンビネーションを見せる二人だが、こんな状態ではさすがにそうもいかない。
 互いが互いに足を引っ張り合うはめになってしまったのだった。

 見つけたと思って近づいてみたら、魔力に反応して爆発する鉱物だっただの、鉱物を糧とする魔獣に遭遇して追いかけられる羽目になるだの、目的の物に辿り着いたときには二人はボロボロになっていた。
「はぁ………やっと見つけた。まったく……きみが魔獣を起こしたりするから!!」
「私だけじゃないでしょ!? そっちだって、探査誤った上に爆発させてたじゃない!!」
「仕方ないじゃないか!? ここの鉱石類が放つ魔力のせいでうまく探査できなかったんだから!! とにかく、封印するから下がって!!」
(………二人とも、いい加減にしてもらえませんかね………)
 おまけに二人の喧嘩はますます泥沼になっていた。
 そんな二人にげんなりしたレイジングハートは、もはや我関せずと沈黙を保つ。
(何よ、自分だって失敗してるくせに人のせいにして! ユーノ君の馬鹿!!)
 封印処理を行うユーノの背を見ながらぶつくさつぶやくなのは。もちろん、念話などするわけもない。
(大体………今日、ひと言も言ってくれないじゃない。『なのは』って)
 名前を呼んでもらえない寂しさが、なのはの怒りに拍車を掛けていた。
 悔しいから今日は自分も名前で呼んでいなかった。
(何やってんだろ、私。ホントは謝りたいのに……)
(何やってんだ、僕は……謝らないといけないのに)
 そんななのはの心を知ってか知らずか。ユーノもまた、同様に悩んでいた。

 本当はこんな事言いたい訳じゃない。分かっているのに、素直に謝れない自分がそこに居た。

 何とか謝るきっかけが欲しい。そう思っても口から出る言葉は喧嘩腰の物ばかり。
 自己嫌悪に陥りながら、ユーノは封印を行った。
「……よし、ひとまずこれでいい」
「どうやって運ぶの?」
「このまま外まで持って行く。ここの魔力数値じゃ転送するのは困難だから」
 封印したロストロギアをケースへと仕舞い、立ち上がったユーノをなのはが半眼で睨む。
「……何?」
「………帰りは失敗しないでよ?」
「きみこそね。まかり間違っても狭い通路でバスター撃ったりしないように」
「どうせ撃つしか能の無い女ですよ! ベーだッ!!」
 結局、こんな調子で罵りあうまま、帰り道を辿ることに。
 幸いにして帰りは何事もなくもう少しで出口、というところまでやってきた。
「やれやれ、やっと帰れる」
「……はぁ」
「何か言いたい事でもあるの?」
「……べっつにぃ」
 どうしても気まずい。このまま帰ってもずっとギクシャクするだけだ。
 どうにかしないと。二人ともそう思ってはいる。だが、どうにも謝る糸口が掴めないのだ。
「……ん?」
 その時、ユーノがかすかな変化に気が付いた。
「……どうしたの? また何かやったの?」
「違うって! きみじゃあるまいし……まずい、これは……地震だ!!」
 ユーノが気付いたかすかな変化。それは微細な振動だった。
 だが、気が付いた次にはすぐに大きな揺れが来た。
「大きい!? 走って!! このままじゃ崩れる!!」
 その言葉と共に出口へと駈ける二人。だが、後一歩というところで。

 出口が崩れ落ちた。

 出口だけに飽きたらず、あちこちで崩落が起きる。崩れた岩石の一部がなのはの頭上へと舞い落ちた。
(よけられな……!?)
「なのはっ!!」
 反射的に防御魔法を張ろうとするが、間に合う距離では無かった。思わず目を瞑る。直前にユーノが名前を呼んでくれた気がした。
 やってこない衝撃に恐る恐るなのはが目を開けてみれば、よく知った翡翠の障壁が頭上に拡がっていた。

 振り向いてみれば、そこには仏頂面のまま障壁を展開するユーノ。
 が、しかし……跳ねた小石が掠ったのだろうか見れば額から出血していた。

「ユーノ君!?」
 慌てて近寄って来るなのはの無事を確認するとユーノもシールドを解く。崩落も止まっていた。
「ユーノ君、大丈夫!?」
「掠っただけさ。大した傷じゃない……大体、きみには関係ないだろ」
 そう言ってそっぽを向くユーノ。その態度にとうとうなのはは我慢の限界を超えた。
「バカっ!!」
 怒鳴り声に顔を向けてみれば、怒りのあまりになのはは目に涙を溜めていた。
「いい加減にしてよ!! 怒るのは分かるけど、こんな時まで意地張らないでよっ!?」
「なのは………」
「バカ……! ユーノ君のバカ! バカ、バカ、バカァァっ!! うわぁぁぁぁん!!」
「あ、いや、あの、な、なのは……その……」
 ついには大声で泣き出してしまう。
 しどろもどろに言葉が継げないユーノ。さすがに泣き出すとは思っていなかった。
「レ、レイジングハート……」
『自業自得です。知りません』
 思わずレイジングハートに助けを求める。が、バッサリと切られた。

 その時、オロオロするユーノを嘲笑うかのごとく、もう一度崩落が起きた。

 再び落ちる岩石にユーノはなのはを抱えると慌ててその場から飛び退く。
『Protection.』
 両手の塞がったユーノに代わり、タイミング良くレイジングハートが障壁を張る。
 それを利用しつつ落石から身をかわし、なのはを抱えたままユーノは安全な場所まで走り抜けた。

 身を隠せる窪みにを見付け、何とかそこに駆け込む。
 崩落が続く中、なのははまだ腕の中で泣き続けていた。
「………なのは」
「イヤッ!! もう知らない!! 嫌い、ユーノ君なんか大っ嫌い!!」
「……ゴメン」
 謝罪と共に抱きしめる腕に力がこもった。何の事はない些細な理由での喧嘩。
 なのに気が付けば、取り返しの付かないくらいなのはを傷つけていた。
 もう自分も泣いてしまいたいくらいだった。
「グスッ……ユー……ノ…君……?」
「ゴメン……なのは。本当に…謝ったって遅いけど……泣かないで。ねっ?」
 暖かい腕に抱きしめられ、顔を上げ見れば泣きそうな顔でユーノは微笑んでいた。
 ほんの数日だったとはいえ、喧嘩してから見ていなかった彼の微笑む顔。

 違う。ユーノ君は悪くない。 悪いのは私なのに。

「ゴ…メン……ユーノ君……ゴメンなさ…い」
 ユーノの胸に顔を埋め嗚咽と共に出る謝罪の言葉。ユーノもまた謝罪の代わりに強く抱きしめ返していた。
「ホントに……ゴメンね。ユーノ君………大事にしてた石だったのに」
「いや、あれはもういいんだ」
「でも……」
 落ち着きを取り戻した後、あらためて申し訳なさそうになのはは謝る。
 ユーノは微笑みながら、そう返していた。
「確かに大事なものだったけど……それでなのはを泣かしてたら本末転倒だよ」
「え………?」
「実は、あの石さ………っ痛ぁ!?」
 何か言いかけたユーノの頭に小石が落ちた。
「だ、大丈夫!?」
「な、なんとか……。今日は頭ばっかりダメージが来る日だなぁ……」
 額の治療は済んでいたが、重ねて受ける羽目になった頭部へのダメージ。
 ユーノは痛む頭をさすりながら落ちてきた石を凝視して、ふとある事に気が付いた。
「あれ……? この石」
 そう、なのはが捨ててしまった物と同種の物だった。
「ユーノ君、その石…」
「うん。間違いないよ。あの石と一緒だ。ツイてるのかな……」
「崩落に巻き込まれたのはツイてるのかなぁ?」
「そうだね……さて、と」
 二人でひとしきり苦笑し、石を拾い上げるとユーノはその石に魔力を混め始めた。
「何するの?」
「まあ、見てて」
 すぐに変化は起きた。鈍い色をしていた石が魔力を受けた途端、たちどころに桜色に輝く石へと姿を変えていた。
「……きれい………」
「良かった……色も同じだった」
「ユーノ君、この石って……?」
「うん、これ……人の魔力を吸収して組成構造を作り替えちゃう石なんだ。あの石と同じ物で良かったよ」
 色の変化を確認すると今度は魔力を形成して石をカットしだす。
 カットが終わるとユーノはサイドポーチの中から何かを取り出し石を填め込んだ。
 ユーノの一連の作業が終わるまでの間、なのははその姿にすっかり見入っていた。
「よし、これで完成。はい、なのは」
 そう言って握られた左手に完成した物が、そっと乗せられる。
 それは桜色の石をあしらったシンプルなブローチだった。
「ユーノ君、これって……」
「ちょっと早くなっちゃったけど、誕生日プレゼントだよ」
「えぇっ………!?」
 手渡されたブローチに視線を落としていたなのはがその言葉にビックリして顔を上げる。
 言われてみれば、確かにもうじき自分の誕生日だった。
「さっき言ったでしょ。なのはを泣かしてたら本末転倒だって。誕生日も近くなってたし、何が良いかなって思ってた時にこの石の事思い出してさ。やっと見付けたと思ったら……ああだった訳で。それでカチンと来ちゃって」
「そうだったんだ………ゴメンね、ユーノ君」
「ううん、こっちも悪かったんだ。でも大した物じゃなくてごめんね。宝石としての価値は全然無い代物なんだ、その石」
「そんなことない!! ありがとう……凄く嬉しいよ………」
 なのはは両手でブローチを包み込み抱く。
(あったかいなぁ……)
 すれ違いもあったけど、ユーノが想ってくれている事が嬉しかった。
 嬉しそうななのはにユーノもまた微笑んでいた。

 数時間後。

「なのは、ユーノ無事!?」
 崩落した岩が撤去され、突入してきたフェイトとクロノが見付けたのは。
 手を繋いで肩を寄せ合い幸せそうに眠る二人の姿。


 そして、なのはの胸には桜色に優しく光るブローチが輝いていたという。




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