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昼下がりの陽光が差す家の中。
穏やかに寝息を立てる三人を見守る視線があった。
いや、それは視線と言うべきなのだろうか。
テーブルの上に置かれたレイジングハートがキラリと光る。
昼食を取った後、眠ってしまったユーノとヴィヴィオを眺めていたなのはだったが、
そのなのはも先ほど、二人に付き合うように横になって眠ってしまった。
なのはと共にあり続けたこの10年。
レイジングハートはずっと側ですべてを見守り続けてきた。
嬉しいことだけではない。つらいことや悲しいことだってあった。
だが……今、自身がこうして居られるのも、すべてなのはたちのおかげだ。
なのはがなのはのまま、ずっと真っ直ぐに生きてこられたから。
そして、そんななのはの側にユーノや皆があり続けたから。
だから、なのはは、なのはでいられ、皆もまた今日を生きている。
二人の間で眠る幼子がここに生きていることこそ、その証。
だからこそ思う。だからこそ願う。
この穏やかな時を永久に失いたくない、失わせてはならない、と。
ならば、自分はどうすればいいか。そんな答えは簡単だ。
マスターと共にあり続けよう。
自らの機能が停止するその時まで。
誰に言うでもなく、決意を新たにして………レイジングハートはふと思った。
この穏やかな光景を記録しておこう、と。
先ほど、なのはがユーノたちの寝顔を撮ってイタズラしていたことを思い出す。
良い具合になのはが使っている水晶……メモリクリスタルも隣に置いてある。
自身の記録機能を使っても良いのだが、メンテナンスの際に記録を覗かれても困るし。
そう思い立つと、レイジングハートはほんの少しだけ眠っているなのはから魔力を拝借する。
ポウッと水晶が光ったのを確認すると満足そうにレイジングハートは明滅した。
これでいい。
なのはが二人に見せようとして、水晶に記録された像を再生した時にビックリする顔が見られるだろうから。
『……暇です』
そんなことを口にするが、そんな何をすることのない時間も悪くない。
大切なマスター達の寝顔を眺めていられるのだから。
ユーノにしがみつきながら、幸せそうに「うにゃ」と寝言をもらす親子。
そんな光景を見ながらレイジングハートはまるでクスクスと笑うように明滅すると自身もスリープモードに落とす。
眠っている三人に付き合うのも悪くない。
そう思うレイジングハートだった。
了
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